Prologue

自分を変えたい、という人のために
世界を変えたい、という人のために

言の葉をつらつらと書き記す。

宇宙に廻る惑星の如く静かに
艶やかに咲き誇る桜の如く華やかに

言葉は世界を変える。

力を入れずして
人を、鬼を、天地を動かせる。

この物語の役割は

人生に光をもたらす用語集―――
人生に潤いを与える問題集―――

あなたの物語をはじめる手助けに
或いは、あなたの物語を彩る支えに

さながら辞典のように、傍らに置いて頂ければ幸いである。

何の為に生きるのか
何の為に此処にいるのか

人生に、「問い」が生まれたとき
初めて人は豊かになれる。

そこに生物の型から離れた、人としての輝きを見ることができる。

言葉は世界を“がらり”と変えられる。

朝は世界の電源を入れよう
ドーンという大太鼓の大きな音が街中に響き渡り
太陽は正しく昇り、大地を優しく照らし
月は裏方にまわり、大海を慎ましく支え
社会の歯車がギギギギと回りだす
ピタリとはまる全能感
主役はあなた 動き出す新たな物語

やがて語り継がれる

美しい始まりの姿。

もう一つのPrologue

いや、いやいやいや違う。
正直に話そう。
すべては自分のために書き記すのだ。
自分という存在を認めるために、
自我の閾を明らかにするために記すのだ。

どうにも人というものは複雑な造りのようで、なかなか思ったように動けない。
勿論、有言実行・不言実行を華麗に体現する方もいらっしゃる。
だが、巷にあふれる啓発本を見る限り、決して多いとは言えないだろう。
そして私も行動の適性を欠いている一人である。

少なくとも幼い頃は、一心不乱に行動とともに生きていた。
彷徨う契機になったのは、ある「問い」である。

何の為に生きるのか
何の為に此処にいるのか

人生に、「問い」が生まれたとき
不安もまた付きまとう。

私は自由になりたかった。
その意味も知らないままに。
孤立し、
逃避し、
抵抗を受ける事を拒否した。

自由を求めていたはずが、自由になった途端に不自由になった。
競争や摩擦から逃れた先にあったのは、混沌としたぼやけた世界。
暖かさが消えた太陽がぽっかりと浮かび、風景に風はなくなった。
私以外は背景になった。
否、私もすでに背景と化していた。

急に戻りたくなった。
だが、その思いもまた、自尊心をひどく小さくさせた。
所詮レールの上でしか生きられない身か、と嘆く日々が随分と続いた。

幸せとは何なのか。
人間とは・・・

次第に「今」が止まっていくのを感じた。
時間だけが足早に過ぎていくのを感じた。
私は・・・何なんだ?

「今」が進んでくれない。
「私」が動いてくれない。

時間に足があるのなら、切り落としてやりたい。
目は物事を見ているようで、感じていない。
写った時点で役目を終えている。

なんだ?何をすればいい?
その記憶、その感情から抜け出せず、今なお悪習として続く不実の心。

夜な夜な独り月を眺めては、物思いに耽るばかり。
空想は無限に飛び廻り、落ち着くところを知らない。

そう。これが始まりの起源。
溜まりに溜まった「負」の感情が、
この物語の最初の記述となる。

私は、自分が、大嫌いだ。