効率の極意

「仕事の本質を見極め、成果が出る点に集中し、
それ以外の部分は力を抜く」

これだけである。

言い換えれば、お馴染みの「選択と集中」である。

しかしなかなか実践できない。
言葉だけが独り歩きしていて、
具体的な行動の規範になっていない。
これは実にもったいない事である。

「本質の見極め・集中・力の抜き方」
この3点について、少し掘り下げて考えてみたい。
言葉と生活とを擦り合わせて、実践しやすくするために。

1.本質の見極め

何を求めているのか―――
何を求められているのか―――

私が何を求めているのか、顧客が何を求めているのか。
到達目標は何なのか、今何をすべきなのか。
優先順位を決める事を心掛ける。
例えば、企画会議の資料であれば、内容が大切なのであって
見た目やまとまり具合ではない。
むしろ速さを必要とする場合もある。

「100点」が果たして本質なのか

自分に問うてみる。
100点は確かに気持ちがいい。
周りからの賞賛も得やすい。
ただ、それは本当に大事なことなのか、
もう一度確認してみる。
得てして自己満足の域を出ない事が多いのである。

完璧主義はその傾きがある。
自分の思い描く理想が
まやかしのプレッシャーを生み出し、
はじめの一歩を阻害し、
極度に失敗を恐れさせ、
いよいよ自己嫌悪に陥れる。

ベストしか考えていないのは危険である。
そもそもベストな状態で臨める仕事など
1年の内にどれだけあるであろうか。
調子が良くなくても、それなりの結果を出せたほうが
良いのである。

「完璧主義の傾向」
・行動の基準が、成功or失敗
二者択一で物事を判断する。100点でなければやらない方がいいと考えてしまう。
失敗を恐れるあまり、行動に移せない。柔軟性に乏しい。
・過度な理想主義
高い理想を追求し、妥協ができない。完成までに時間がかかる。
・否定の恐怖
周りの人の目が気になる。小さなミスを恐れる。人に嫌われたくない。

上記に当てはまる方は、一度思考の習慣を見直す事をお勧めする。

2.集中

仕事と効果は1対1の関係ではない―――

「20%が80%の効果を生む」
これは、パレートの法則(80:20の法則)と呼ばれる。
売上の80%は、20%の顧客から来るといった考え方である。
大切な20%に目を向け力を注げば、大きな効果を生むが、
重要でない80%にいくら尽力しても、見合う価値は生まれない。
ここでは数字を確かめたり、分析したりはしないが、
この考え方は是非頭に入れておきたい。

時間の設定―――

「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
これは、パーキンソンの法則と呼ばれる。
人は与えられた全部の時間を無駄なく使おうとする。
仕事のペースを無意識に調整してしまう。
余分な時間は、自ら生産性の低下を招いてしまうのだ。

仕事に対して、必ず終了時間を設定する。
あえて、少し短い終了時間を設定するのが良い。

速さの意識―――

小さなことからすぐに着手する。
集中力は実は速さと密接に繋がっている。
時間を設定して、いかに短時間で仕上げられるか
速さを念頭に置いておくだけで集中力は身につく。
丁寧さが失われる?いや、丁寧さはそれほど関係がない。
速さを追求できれば、余った時間を再検討に使用できるし、
そもそも時間をかけて丁寧に仕事をしたところで
間違いや失敗が完全になくなるとは限らない。
ギリギリになって仕事が煩雑になるよりもずっといい。
速さは武器の一つであり、魅力でもある

3.力の抜き方

「頑張ること」に自惚れるな―――
「頑張らないで」成果を上げることを美徳に感じよ―――

頑張る主義は、頑張る方法を変えようとしない傾向にある。
無駄なことに一生懸命時間をかけて取り組むことは、
一番効率が悪い。

テストで設問が5個あるとして
設問1に多大な時間をかけて、その他が疎かになった
という経験はないだろうか。
そして出来る問題から始めなさい
先生は口酸っぱく言うのである。
100点は取れなくても80点取れるなら十分である。
設問1だけで無駄に時間を終えない方が賢明である。
常に全体を見て、余裕を持って取り組むことを心掛けよう。

効率の極意と銘打ったが、
これらは一つの方法であり
まだまだ効率を上げる手段は山程ある。

しかしながら
効率を上げる手段をすべて覚え尽くしてから
効率を上げようとするのは
効率が悪い
あなたの人生はそんなに長くはない。

見つけた方法をすぐに実践し
自分なりに咀嚼して
自分の法則へと変えて生きていく方が
ベターであろう。