青草賢治は、まだ悩んでいた。かれこれ2時間は経っていただろう。 なかなか筆が進まないのだ。いや、タイピングが進まない、というべきだろうか。 タイピングか・・・それもまたしっくりこない気がする。何と呼べばいいだろう。手が止 …
人生は物語だ。
現象ではない。
自分の人生は語ることでしか表現できないし
他人が見た自分の人生もまた彼らのフィルタを通して語られる。
歴史もまた物語だ。
historyにはstoryが入っている。昔からそうだったのだ。
自分の人生を一部始終記録していたか?
自分のフィルタを通さず事実のみを抽出できたか?
自分の人生を思い出す時、記憶の断片を拾って、あるいは捏造して、物語にしているということだ。
ということはだ。
自分の人生はたやすく変えられると言うことだ。
自分の思ったとおり、変えられるのだ。
その昔、世界は混沌であった。 混沌に秩序を与えたことで、事象を一つ一つ分けていった。 「型」を与えたのである。 そして世界は整理され、部分の集合体になった。 そこに意味や価値が生まれたのである。 型ありき――― 人も同じ …
夜にしか着想されない思考がある。 夜にしか補足できない感情がある。 真黒い闇が辺りを覆い 内と外との境界線は正確さを失う。 灰色の脳細胞は自身を隈なく点検し始め 見えなかった昨日に評価を下し 糖分の多い幻想に点数を付与し …
パイプオルガンの音が鳴り響く大聖堂、その奥中央に大きな椅子がある。 その椅子は濁った金色をしていて、あたかも皇帝が座るような仰々しい光沢を纏っていた。 座布団はひかれていないし、クッションも無い。 人が座っても決して心地 …
本を読んでも、 情報を得ても、 インプットしても、 アウトプットしなければ 本当の意味で学習した事にはならない。 使われない情報は単なる娯楽にしかならない――― これはよく知られたことである。 さて、 ここに一つ落とし穴 …
私は屋上が好きだ。 高い所から見下ろす景色が好きだ。 高い所で吹かれる風が好きだ。 澄んだ空気と、広い空間、頼りない肉体。 地上に吸い込まれそうになる引力と魅惑。 世界と自分との距離を確認する。 地上と空と、間に立つ自分 …
最近は変な夢ばかり見る。 思い詰めている証拠だろうか。 寝ぼけ眼をこすりながら 不安を抱えた時に見る夢、を携帯で調べようとしたが 途中で面倒臭くなって辞めてしまった。 それよりも不安を取り除く努力をした方が 費用対効果が …
思考は、人間にとって最大の武器である。 人間より足が速い動物は沢山いる。 人間より高く飛べる動物は沢山いる。 人間より上手に泳ぐ動物は沢山いる。 だが、人間より深く考える動物はいないだろう。 人間は思考することで今の地位 …
ベランダに出て熱いコーヒーを片手に外を眺める。 これが最近の日課になっていた。 それまでの生活は独居房のような生活で、昼夜が逆転していた。 先月たまたま引っ越しをすることになって(なってしまって)、 心機一転しようと朝方 …
「夢を持て」と子供に言う。 「夢を見るな、現実を見ろ」と大人に言う。 果たして相手への助言なのか、 自分を納得させる為の自戒なのか、 定かではない。 言っていることが違うじゃないか、という事もない。 別に、矛盾はしない。 …
鏡花はパソコンを閉じた。 つい先程まで、その“窓”を通じて 沢山の迷える人々に独自の理論を展開していた。 何も変わらない日常。 日常は平均的な一日。 変わったことが起きない、特筆すべき点がない一日。 何も変わらないこと、 …
さて、青い鳥である。 こっちを見ている。随分簡単に手に入ったものだな。 メーテルリンクが書いた青い鳥とはえらい違いがある。 あれは・・・確か幸せの青い鳥を探しに行って、 様々な冒険の末捕まえることは叶わず、 家に帰ると鳥 …